歯科技工士から見た良い歯医者
―歯科技工士の立場から―

今回、お二人の歯科技工士さん(ブラさん・ぴーさん:仮名)にご登場願い、技工士さんの目から見た“良い歯科医院”について、語って頂きました。

:ブラ
いざ“良い歯医者とは?”と考えると難しいものです。一般の方々から見た場合と、人工の歯(被せ物や入れ歯)を作る専門家である我々歯科技工士から見た場合とでは少し異なる部分がありますので、その辺りをご紹介致します。

:ぴー
...そうしましょう!

:ブラ
まず、我々から見て、腕の良い技工士さんと心の優しい歯科医・歯科衛生士さんとのチームプレーが円滑にいっている歯科医院はよろしいと思います。

:ぴー
難しい事は抜きにして、そういう歯科医院は、治療イスに座って“ホッ”とリラックス出来る雰囲気があるよね!
でも、歯科恐怖症の方には無理みたい...

:ブラ
その他にも色々なポイントがありますから、それらを具体的に挙げてみました。かなり勝手なことも申しておりますがどうぞ皆様御覧下さい。

:ぴー
結構ためになるよッ!

 

1. 「外注技工にお金をかけている(ケチらない)診療所」であるか?

:ブラ
いきなり皆様には分かり難いことで申し訳ありません。技工(被せ物や入れ歯を作る仕事)は手仕事(全てオリジナルのオーダーメイド)ですから、一般的に安いものに良品は無いと考えるべきです。

:ぴー
そうそう、たまに技工料金を値切る歯科医院があるけれど、それって技工士がやる気をなくすので、結果として品質が低下してしまう。(患者さんに申し訳ないと思い)何とか良いものを作ろうとしても、どこかで気を抜いてしまう。主よ! この弱い私をお許し下さい。

:ブラ
でも、そうなるのは或る意味では仕方ないことだと思います。我々もプロなのですから、“値切る”ということは“その価値を認めない”と言うことにつながりますから、そのような歯科医院さんとは良い関係は作れませんね。

:ぴー
...と言うことは、技工士さんとの付き合いが笑顔で出来ている診療所を選ぶべし!ですね。

 

2. 「型取りに真剣、慎重な診療所」であるか?

:ブラ
入れ歯・被せ物(クラウン)・詰め物(インレー)を造る為の基本は型取り。型取りの後、Dr.自ら厳しくチェックしている所が信用できる。気に入らなければ当然(時々)取り直すハズ。

:ぴー
そうそう、それも言えてる!
何でもかんでも技工士任せ、そのくせ失敗は技工士さんの責任なんて、信じられない先生がごく希に(控えめです)おいでになります。希望としては、我々も治療スタッフの一員として、模型(取った型から石膏模型を造ります)だけを手掛かりに技工物を造るのではなく、診療室で患者さんを囲んで、技工士と歯科医がコミュニケーションを取りながら技工作業を進めることが出来れば、治療の緊張感が伝わり患者さんにとってもより良いものが出来ると思います。

:ブラ
そうなんだよ、でも現状ではそれをルーティーンにこなすのは不可能だね。

:ぴー
そうだね、睡眠時間がなくなるね ...。
(個人開業歯科技工士さんの一日):
朝〜昼過ぎ → 取引歯科医院から模型回収 午後〜深夜 → 模型造り、技工物作製

 

3. 冠や入れ歯を入れる(装着する)のに時間が掛からないか?

:ブラ
先述の1.2に反した治療をしていると、良いものが出来ないので装着前の調整に時間が掛かる。(装着後も外れ易い)
しかし、わざと低い噛み合わせに造ると調整は早いが、顎関節症(あごの関節や付近の筋肉が炎症を起こした結果、あごが自由に動かなくなる)などもっと大きな問題の原因となる事を知っておいて頂きたい。

:ぴー
再製(最初から作り直し)が少なく、チェックの甘い歯科医院さんは、こちらにとってはありがたい反面、緊張感がなくなり甘えが出てしまう。

:ブラ
ダメじゃんッ !!

:ぴー
ハイッ!
私、暫く反省しておりますから、ブラさん、後宜しくお願い致します。

:ブラ
オッケー!
ではもう少しだけお付き合い下さい。

 

4. 専門家(歯科医)としての主張があるか?
無理強いではなく、患者さんとインフォームドコンセントを取りながら良い方法を説明し(納得の行く説明をし、同意を得た上での治療)、実践することを本来の治療方針としている。 →
専門家としてのアドバイスが無いのは問題あり。

 

5. 入れ歯(冠や詰め物も含む:補綴物)の失敗に対して自己責任を取っているか?
治療の不具合を患者さんや技工士さんの責任にせず、謙虚な姿勢であると同時に、責任感を持って治療に臨んでいる先生か?
自己責任(治療後の保証など)のとれる院長は、自分の治療に対しても厳しいので、患者さんにとってはプラスとなる。(治療説明が分かり易く、治療の各ステップが丁寧だと当然満足の行く結果がでる。)

:ブラ:ぴー
好き勝手を申し上げましたが、最後までのお付き合いありがとうございました。
我々も、より良い歯科治療のためにこれからも努力し続けます。

 

まとめ:1. 外注技工にお金をかけている(ケチらない)診療所
2. 型取りに真剣、慎重な診療所
3. 冠や入れ歯を入れる(装着する)のに時間が掛からない(はめた後、外れない)
4. 専門家(歯科医)としての主張がある
5. 入れ歯(冠や詰め物も)の失敗に対して自己責任を取っている
6. 腕の良い技工士さんと心の優しい歯科医・歯科衛生士さんとのチームプレーが、円滑にいっている


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